父親のくせ。
ごはんを食べたとき、一口目を口にしたとき、
必ず足りないところを言うこと。
『なんか足りない。』
『もうちょっと焼いてもよかった』
『こんなに小さく切らなくても』
足りないところが具体的にない時などは、
首を傾げる。
その瞬間、血の気が引いてクラクラするので、
私は一口目のその時を
なるべく見ないようにしている。
無意識なのか。
言われた私の顔を見ることもなく、
テレビを見ながら、
一口目の感想を言う。
毎度のことなので、くせ、なのだろうと思う。
そう思うことにして何とかやっている。
やめてくれと言うこともできるが、
その時の摩擦とダメージを考えると、
くせなのだろう、と思っておくほうが楽だ。
逃げることくらいさせてくれ。
もうちょっとイイくせを探せるといい。