アーチンの小麦粉文庫

アーチンのブログです。適当に書きます。

【お悩み相談】「戯曲が書けません・・・」(後編)

 

みなさま、こんばんは!

心の洞窟を旅する旅人アーチンです。

どうぞよろしくお願いします!

 

本日は、昨日のお悩み相談の続きです。

(初回から、私のお返事がめちゃくちゃ長くなってしまったので、前後編でお送りしています。)

 

★ご相談文と前回のお返事は、こちら↓

https://komugikobunko.hatenablog.com/entry/0709001

 

f:id:komugikobunko:20210709211926j:image

 

さちこさんから、戯曲を書けません…というご相談をいただきました。

今日は、前回よりもう少し具体的なお話です。

戯曲に関しては独学のため、参考にならないかもしれませんが、何かしらのお役に立てましたら幸いです。

それでは、どぞ!

 

 

 

>どうやって書いているんですか?

このように質問してくださるのが、さちこさんが初めてでございまして、少々興奮しています。

 

【 私が戯曲を書く時のプロセス 】

○自分が観たい場面をイメージする(テーマらしきものが決まる)

○登場人物をデザインする

○登場人物の関係性の変化を時間軸で考える

○どんなきっかけで関係性が変わっていくのか、そのきっかけの出来事を考える(エピソードを考える)

○そのきっかけが「会話」だった場合、初めて「会話」の台詞を考える

 

一つ一つの解説を書き始めたら膨大な文量になってしまいそうなので、今日は3つにまとめてみました。

 

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1、私が観たい場面(景色)を観るために、

 その場面(景色)を軸に物語を構築する。

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まずは、「私、こんな場面を観てみたい…。」と考えるところから始めます。

例えば、

 

〇マンホールの蓋をやっとの思いでこじ開け、ついにマンホールの中にいる人と再会する。

〇引っ越しそばを4人で食べようとしたが、そこには会議室で使うような長机しかなく、全員横並びで食べることになった。

〇三方を本棚に囲まれながら演説をしている博士と博士の言葉を必死にメモる助手。

 

こう羅列すると、まったく意味のわからないお話ですが…(笑)。

『あー、こんな場面を観てみたいな!』と思ったら、この場面を観るにはどうしたら観れるか?という視点で書き始めることが多いです。

 

なんの制限もなく自由に書くことは一見、楽なように思えますが、案外と難しいもので、この『観たい場面ありき』ルールは、そんな時に有効なガイドラインとなります。

 

 

その他にも、

・上演するとしたら、どのくらいのキャパの劇場で演りたいか?

・上演するとなったら、何人くらいで演るのが楽しそうか?

など、こんなことも条件に入れていくと、より制限が増え、戯曲の輪郭がはっきりとしてくるような気がするのです。

 

私にとってのこの『観たい場面』は、おそらく何かしらの『テーマ』を表しているのかなと思います。

本当は『テーマ』をはっきりさせないといけないとは思うのですが、私はその方法が苦手らしく、私は言語化しないまま、うっすらとした状態のまま、その場面だけを心の片隅に置きながら書き進めます。

すると不思議なもので、輪郭がはっきりとすると同時にテーマも見えてきたりします。また、その観たい場面同士が繋がったり、その場面に出てくる人が重要人物になったりもして、おもしろいので、私はこの方法を好んでやっています。

 

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2、自分自身(または身近な人)を

   何人かに分割して書いてみる。

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ご相談文の中にこのように書かれていました。

 

>「さちこさんは今年は登場人物を増やすのが課題ですね」と言われました

>はああ、他人の行動の深い気持ちなんぞわからんぞーーー

 

私もまったく同じく悩んだことがあり、「わかりますっっ!!!」と思わず声を上げました。

私はその課題にどうやって取り組んだのかを少しお話させていただきます。

 

表題に書いた通りなのですが、

『自分自身(または身近な人)を何人かのキャラクターに分割してみる』

という方法を取り入れていました。

 

自分という人間は一人ですが、その心の中には、何種類もの表情や性格や性質の人間がいたりしませんか?

(「全然そんなことはありません。」という可能性もあると思うのですが、このトピックではこのままお話を進めます。私が常に自分の中で10人くらいが会議している感覚があるので、このような発想になるのかもしれません。)

 

まずはそんな自分を観察します。

そして、例えば「私は好奇心旺盛だけど引っ込み思案なところもあるなあ」と感じたら、その二面性を2人のキャラクターに分割します。

⇒ 好奇心旺盛なAさん / 引っ込み思案のBさん

 

その次に、好奇心旺盛なAさんをさらに2人に分けます。

その時に自分の中にある要素でもいいですし、身近な人のでも構いませんので、その要素を、先ほど分けた好奇心旺盛の2人のAさんそれぞれに足します。

⇒ 好奇心旺盛、だけどすぐ飽きてしまうA子さん / 好奇心旺盛で、寝る間も惜しんで遊ぶA男くん。

 

その次に、引っ込み思案のBさんも2人に分け、それぞれに新しい要素を加えます。

⇒ 引っ込み事案だけどSNSでは饒舌なB美ちゃん / 引っ込み思案だけど家族の前では横柄なB太郎くん

 

■結果

自分(1人) ⇒ A・B(2人) 

⇒ A子・A男・B美・B太郎(4人)

 

という具合に、自分が4人のキャラクターに増えました。

私は、まったく知らない人格のキャラクターをゼロから描くことが苦手なので、「自分のことなら書けるんじゃないか?」という発想から、この方法が生まれました。

この方法で書いてみると、一人一人のキャラクターに一部だけですが親近感が沸き、台詞が書きやすくなり、会話が生まれやすくなりました。

 

他人のことをわかるのはとても難しいと思い、私が取った方法は上記のように、自分を分解することでした。

 

★自分を分割することは、自分を見つめること。

★自分を分割することは、自分を掘り下げること。

★自分を分割することは、何人もの自分と出会うこと。

★何人もの自分と出会うことで、いずれそれは、他人を理解することに役立つかもしれない。

 

 

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3、登場人物同士の関係性の変化の

   様子を楽しむ。

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ちょっとわかりにく表題になってしまって申し訳ないのですが、

舞台や映画やドラマを観客として観る時、登場人物同士の関係性が変化していく様を観るのが私は好きらしく、自分で戯曲を書く時も、登場人物同士の関係性(ベクトル)を重視して書いています。

 

現実世界の人間関係も日々変化します。

変わらないように見えても、日々の出来事や会話などによって、関係性は微妙に絶妙に変わっていきます。

その変化をドラマチックに、ダイナミックに1〜2時間の物語として描くのが戯曲であったり、舞台、映画などのエンタメと言われるものなのかなと思うのです。

 

会話劇を書く時は、登場人物同士の関係性がはっきりしているほど書きやすい印象です。そして、それぞれの関係性が変化する出来事の場面であれば、

 

・どんな台詞が関係性の変化の引き金になるのか

・その台詞を言われた相手側はどんなふうに心が変化するのか

・その心の変化(反応)はどんな台詞になるのか

 

など、「心の変化」「関係性の変化」に注目して、会話を書いています。

 

 

以上、私の戯曲を書く時の方法を1〜3までまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。

独自の方法すぎて、さちこさんの参考になるか今とても不安ですが、あくまでも私の好む手法ですので、何か参考になりそうでしたら参考にしていただけますと幸いです。

何か一つでもいいので、さちこさんのヒントになると嬉しいのですが…。

 

さちこさんのおかげで、自分の戯曲を書く時の思いを言語化できました。

きっかけをくださり、ありがとうございました。

 

 

最後に。

私はさちこさんは今変化の時を迎えられていらっしゃるのではないかなと思いました。

それは、戯曲講座で「他人を描くこと」「複数の人の会話を書くこと」に真っ向から挑戦されていることから、私はそのように感じました。

 

一年前は「ひとり語り」の物語、今年は「3人」の物語を書いています。

戯曲は創作物ですが、その人が書くものはその人の心をどうしても反映します。

今さちこさんは、3人の登場人物を描こうとされていて、それに苦戦されている。

 

さちこさんの心の世界にも同じことが起こっているのかもしれないなと思ったのです。

さちこさんの心の世界に自分以外の人を登場させよう(受け入れてみよう)とされている、その大きな一歩を踏み出しているところなのではないかなと思いました。

 

私の想像でお話してしまいましたが、もし、そうであれば、さちこさんはとてもすごい一歩を踏み出されているのではないでしょうか。

さちこさんの今回の戯曲への挑戦は、とても意義があって、恩恵がある挑戦のように思えて仕方ありません。

 

うまくまとまらないお返事になってしまいましたが、心より応援しています。

また、何かありましたら、お気軽に池に小石を投げにいらしてくださいね!

それでは、また。

 

 

心を込めて、アーチンより。